毒親育ち

毒親育ちは普通の家庭がファンタジー

 

最近、3歳の娘と一緒に「となりのトトロ」を見ました。

娘が映画一本を見るのは初めてで、途中で飽きるかなと思いましたが、楽しそうに最後まで見ていました。

ねこバス、のりたいー

とても可愛いらしい願いごとです。

毒親育ちが育児中に見たジブリ映画。昔はジブリ映画やドラマなどをまっすぐな視点で見れなかった

子どものころに作品をそもそも見ていない、ハッピーエンドなど現実にはほとんどないことを知っている

子どものころに過酷な状況だった場合、ジブリ作品含め映画やドラマを見ても、まっすぐな気持ちで見ることができません。私のように育児をすることによって、初めてジブリ映画に触れるひともいるのではないでしょうか。
毒親育ちは、そもそも映画を見にいく機会がなかったり、テレビで放送されてもチャンネル権がないこともあります。

そして見られたとしても、「幸せな家庭」や「いろいろあってもハッピーエンド」という物語が、空想上のものでしかないことを知っています。

映画やドラマは、どんなに過酷なことが待ち受けていたとしても、主人公の周りには助けてくれる人がいたり、悪い人がいなくなったり、気持ちを反省して改めたりするのですが、毒親育ちの現実問題として、周りに助けてくれる人がいなかったり、親が反省して愛情を注いでくれたりということがないのです。

毒親育ちはジブリ映画やドラマを楽しむ心の余裕がない

ジブリ映画をは映画館に行くことができなくても、テレビでみることができます。
ですが、毒親育ちは現実に問題があるのです。
正直、ジブリ映画やドラマでファンタジーや夢などを見る余裕がないのです。
夢や希望を持っても、毒親持ちは何度も裏切られてきたので、映画でファンタジーを見ても、それを楽しむつ余裕がありません。
そして、ハッピーエンドの映画を見終り、現実に引き戻された時の自分の過酷な状況に唖然とします。

映画は不思議な出来事や、優しい周りの人に助けられてエンド。

毒親がいる自分にはそんな不思議な出来事もないし、優しい人も周囲にいない。
ずっとつらい状況は続いているのです。
ネグレクトだったり、育児放棄だったり、過干渉だったり。
もしかしたら、毒親を持つ人たち自身も、今自分はこんなに辛いのかも気が付いていないかもしれません。
今の自分が、映画やドラマ以上に過酷な状況。
そして映画やドラマのように「終わりがくる」ということが現実にないことを知っています。

ジブリ映画「となりのトトロ」の解釈

お母さんが病気で入院し、父と娘二人が力を合わせて暮らす。またたくさんの村の人たちに助けられながら生活するなかで起こるファンタジー

これがおおまかなストーリーだとすると、毒親育ちのメガネでとらえると

お母さんが病気で入院中、父は田舎に引っ越し、育児はろくにせず出社するときは子どもを自宅に置き去り。姉は家事と妹の世話をし、妹の行動に振り回される日々。変な動物が現れても、その不思議な存在よりも現実問題のほうが深刻。母の病気が治るまでと希望を持つが、退院しても当分は家事も妹の世話も自分がしなければならない現実が待っている。

ととろの世界には、苦労をしつつも周りが助けてくれる、変な動物が助けに来てくれますが、毒親がいる世界には存在しません。
映画はお母さんの病気が治り退院したのかどうかわかりませんが、妹が無事に見つかってよかったよかったと、時間になれば終了です。

所詮ジブリ映画やドラマはフィクションなのだから、楽しんだらいい

映画、ファンタジーなのだから気楽にみればいい

たしかにその意見は正しいです。映画やドラマは娯楽なのですから、気楽に見て楽しむものです。
なんだかんだいろいろあっても、最後にはハッピーエンドまたはバットエンド。
時間が来れば終わります。

ですが、毒親育ちにとっては、何気ない普通の家族の存在事態がファンタジー。普通の家族というものをしらず、映画やドラマよりも過酷な毎日を過ごし、物語のように終わりがない世界を生きています。

フィクションや、物語よりも過酷な世界を生きる彼らに、それを見る心の余裕はないのです。

実際に私は大人になるまでジブリ作品を見る機会がありませんでした。
そして初めてジブリ作品を見た時(20歳くらいだったと思いますが)

なんだか説教臭い(自然を大切にとか、仲良くとか、メッセージ性が強い)
商売のにおいがする(作品の中に商品化しそうな動物やマスコットがいる)
結局なにがいいたいのかよくわからない(物語が解決しても、心動かされない)

こんな感想を持ちました。
周りが「〇〇見たー?おもしろかったよねー」っていうはなかで適当に話を合わせながら上記の感想は述べず、その会話をやり過ごしたことを覚えています。

自分が育児をするときに改めてジブリ作品の良さを知る

毒親育ちがジブリ映画やドラマのファンタジーを見ても楽しめないのは、それは決して作品が面白くないからではありません。作品を楽しめる状況になかったというだけのことです。

今現在の私は、娘と一緒にジブリ作品を楽しめるようになっています。
少しずつ毒親からの解放を試み、今現在新しい家族ができ、娘を育てながら、自分が幼いときに感じることができなかった体験を一緒に体験させてもらっています。

あらためて見ると「となりのトトロ」おもしろいですね。いまだにトトロがどういう存在かわからないけど、純粋な目で見ている娘と一緒に私も不思議な世界へいくことができるようになりました。

「育児=育自」とよく言われますが、私は子育てしながら自分が自分自身を育てなおしているのかもしれません。自分がしてほしかったことを娘にも自分にもしてあげよう。それが私にとっても毒親や原家族から解放される手立てなのかもしれません。